「毎日新聞社」主催による音楽コンサート ご報告
歴史ある全日本学生音楽コンクール(毎日新聞社主催)各部門の高校の部で第一位受賞された若手演奏家の方々による奉納演奏が行われました。
一千年の間、先人によって護り継承されてきた仏さまがおられる空間で才能豊かな若者たちに、“仏さまに聴いて頂く”という経験をしていただきました。コンクール受賞の京都研修賞として、日本文化を学ぶ研修京都旅行が行われ、コンクール受賞者が世界へ羽ばたいた時に日本の素晴らしい文化を世界の皆様へお伝えできる様に京都に息づくいろいろな伝統文化にふれて体感します。千年前からある“仏さまのオーケストラ”への音楽奉納。神社や仏閣、源氏物語の舞台となった京都御所を特別拝見。異分野で活躍される大先輩のお話。一世代上の先輩との交流など。次の飛躍に必ずや役立つことを信じております。
<1. 御挨拶>
このたびは全日本学生音楽コンクール入賞者による京都・即成院での演奏会(音楽奉納)にご協力賜り、心より感謝申し上げます。今回の音楽奉納は、将来の日本のクラシック音楽を担うであろう若者たちが、海外などで研鑽を積む前に、日本の伝統文化を肌で感じ、その奥深さを理解してもらいたいと いう企画室・篁 U.S.A の榎戸敬子様の思いから企画が生まれ、榎戸様とその趣旨に賛同していただいた即成院住職、平野雅章様、ホテル日航プリンセス京都、そして学生音コン主催者であります弊社を中心に準備を進めてまいりました。今回、平野住職の呼びかけに応じていただいた皆様のおかげをもちまして、実現への道筋が整った次第でございます。学生音コンは、2011 年大会で 65 回を数え、80 回の日本音楽コンクールとともに、長期にわたってわが国のクラシック音楽界を支えてまいりました。弊社といたしましては、 皆様のご厚意に報いるためにも、才能の発掘と育成にいっそう努力する覚悟でございます。本当にありがとうございました。
2012 年4月 18 日
毎日新聞社編成編集局長 成田 淳
同 事業本部長 広田 勝己
<2. 企画主旨「音楽奉納・京都研修の提案理由」>
我家は、5分と離れていないところに武蔵野音楽大学があります。この大学では、世界各国から演奏者を客員教授として招いています。今から37年前のことですが、当時、旧ユーゴスラビア人のオペラ歌手も客員として 大学の近くに住んでいました。私の子ども達が彼女と仲良くなり、帰国するまでの10 年間、家族で交流を深めました。帰国に際し、息子が通う地元の中学校へ、「700名の生徒のうち一人でも聴いて楽しかったと言ってくれたら、意味がある」と言って、コンサートを贈ってくれました。翌年、26歳でリスト音楽院教授となったハンガリー人のヴァイオリニスト一家が帰国する前に、やはり同じ中学校でコンサートを致しました。実は、この時代の中学校は荒れていたのです。
演奏後、アンコールで校歌を丁寧に弾く姿に、生徒たちは驚き、これまで音楽の授業で、声を出して歌ったことのなかった男子生徒が歌うようになり、学内で合唱コンクールができるようになり、卒業式では、生徒の発案で音楽による卒業式が行われました。後の話ですが、このコンサートを報じた新聞を読んだ、当時のハンガリー大使が、ご夫妻を招いた夕食会で「日本によい贈り物をしてくれました。誇りに思います」と、直々に御礼を言われたそうです。こうした間にも、友達が友達を呼んで、ドイツ、ポーランド、イタリア、イギリス、 内モンゴル等の方たちが遊びに来てくれました。
特に、実業家のアメリカ人一家との交流は、親子共に年齢が近く、子供たちは毎日遊んでいました。その間、親は、趣味の話から始まって、子育て、政治、経済、文化と話題はつきませんでした。様々な話に共感したり、違いを知ったりと、本音で話し、お正月からクリスマスまで、お互いの国の季節の伝統行事を一緒に遊び、楽しみました。細やかな草の根国際交流する中で、いくつか気になる共通点に気づきました。
1.ギブ&テイク(自国の歴史や文化を語る)留学先で、音楽を教えて頂くのですから、お返しに、自国の歴史や文化を語り、 身近な日本の四季の行事などを話、伝えることは大切です。
2.宗教について 日頃、日本人同士の付き合いに出てこない話題だと思いますが、外国の方から「あなたは何の宗教を信じていますか?」という質問を受けます。私たち大方の日本人は、堂々と「無宗教です」と言いませんか?実は、私はそう言いました。しかし、その質問の真意は、「お互いの信仰が違うことは問題にはならないけれど、 その人の考え方の核となる物差しを知っている方が理解が深まるし、自分の意見を持っている人の方が、より魅力的だと思う」ということだと教わりました。宗教の質問が、このように導かれる、身近な質問とは思いませんでした。
3.社会貢献、還元することは当たり前社会的に立派になったらそうします、と言う人もいますが、どうでしょうか。今の自分にできることを発表し、伝えることも、とても大切で、若いうちからできることがあります。母校や地元の幼稚園、老人ホーム、病院などに出向いての演奏会など、小さなことから積み重ねてほしいと思います。控えめであることとは、また別の次元と考えています。
4.新聞を読むこと、異分野の人と交流することこれはテレビで見た受け売りの話ですが... ある日本を代表する世界的メーカーの社長が、チャイコフスキーコンクールで優勝した若手ヴァイオリニストを連れて、ジュリアード音楽院の名ヴァイオリニスト、 アイザック・スターンさんを訪ねました。そこでは、ヴァイオリンの話は一切なく、 「あなたは新聞を読んでいますか?」と一言尋ねられたそうです。アイザック・スターンさんのこの一言は、誠実に生きようとする全ての人に通じることではないかと、私は大変感動いたしました。聴く者の心を揺さぶるような演奏者は、新聞を通じて世界に目を向け、異分野の人たちとの交流を持ち、陰ながら己を養う努力をされていることを知りました。
この番組を見て、私は、それまでに出会った外国の友人が残してくれた話と重なって、このことを若い方に使えたいと思ってきました。
才能に恵まれ、これから世界に羽ばたく受賞者の方には、是非、生かして頂きたいと思い、この度の企画を思いつきました。千年前からある“仏さまのオーケストラ”への音楽奉納。神社や仏閣、源氏物語の舞台となった京都御所を特別拝見。
異分野で活躍される大先輩のお話。一世代上の先輩との交流など。次の飛躍に必ずや役立つことを信じて、ご提案いたします。
2011年10月20日 企画室 篁・U.S.A.
榎戸 敬子
<3. 音楽奉納 主な内容>
1部
13:45 開演 司会:毎日新聞
挨拶:毎日新聞
祝詞:総本山 御寺 泉涌寺長老 上村貞郎
音楽奉納のための献花(佐藤勝重さん演奏)
清浄:即成院住職 平野雅章
14:00 コンサート
1.谷口まりやさん(第64回 声楽1位)
鹿児島国際大学1年
ヘンデル:歌劇「エジプトのジューリオ・チューザレ」から
このように、ただ1 日のうちに~この胸に息のある限り
メンデルスゾーン:歌の翼に
2.土井遥さん(第65回 バイオリン1位)
筑波大学附属高校2年
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番『バラード』
3.松岡井菜さん(第64回 バイオリン1位)
相愛大学1年
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
<4. 研修 主な内容>
4月18日(水) 演奏終了後の予定
1. 都をどり お茶席と観賞 祗園歌舞練場
2. ホテル日航プリンセス ホテル内にて夕食
4月19日(木)
3. 御寺 泉涌寺 特別参拝
4. 清水寺 特別参拝
5. 平安佛所工房見学
6. 南禅寺 順正:生湯葉・湯豆腐懐石
7. 伝統工芸:長艸刺繍(ながくさししゅう)工房見学
8. 京都迎賓館特別参観
<音楽奉納、研修の様子>